Wi-Fi / 5G間における 通信事業者QoSシナリオの分析 (2022)

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Wi-Fi 6をはじめとするWi-Fi®の新しい世代および5Gテクノロジーの進化と、インターネットへの信頼できるシームレスなブロードバンド アクセスに対する需要が合わさったことで、MSO(複数サービス オペレーター)、ISP(インターネット サービス プロバイダー)、MNO(移動体通信事業者)にとって、顧客に統合データ サービスを提案する多くの機会が創出されました。4Gと5Gのどちらのシステム アーキテクチャでも、ユーザーはセルラーや他の非3GPPを通じて(Wi-Fiなど)、サービスにアクセスできます。FMC(Fixed Mobile Convergence: 固定通信と携帯通信の融合)と呼ばれるこの相乗効果によって、サービス プロバイダーは自社の運用環境を合理化しながら有線・無線ネットワークを通じてマルチアクセス接続を提供できます。 さらに、5GシステムにWi-Fiアクセスを統合する3GPPが規定する統合アーキテクチャによって[1]、通信事業者はこれらのアクセス ネットワークを通じた統合サービスへのWi-Fiおよび5Gによるシームレスな接続性を提供できるようになります。

Cisco社によると、2023年までに世界のインターネット接続数は53億に達するとともに、Wi-Fiの速度は3倍、トラフィック数は接続数を上回る速さで増加する見込みです。結果として、データの消費は驚異的なペースで増加しますが、驚くことにこれがインターネット サービス プロバイダーのARPU(ユーザー平均単価)の増加にはつながりません。その理由は、魅力的な製品とサービスを提供しているMNO、MSO、OTT(オーバー・ザ・トップ)ベンダーが数多く存在し、ユーザーには多くの選択肢があるため、これが結果として高い顧客チャーン レートとARPUの減少につながるためです。従来のトリプル プレイ サービス(映像、電話、インターネット)に加え、ISPおよびMSOは強化したデバイスの機能、より速い通信速度、よりインテリジェントなネットワークを統合して、ビデオ ストリーミングやスマートホーム システム、ホーム セキュリティ、マネージドWi-Fi、健康モニタリングなどの新しい付加価値サービスの提供、またXRやゲーミングなどの新しいアプリケーションの利用を促進しながら、これらのサービスに対するリソースの利用を最適化しなければならないという大きなプレッシャーの下にあります。

今日、MSOおよびISPはDOCSIS(データ オーバー ケーブル サービス仕様)やXG-PON(拡張ギガビット パッシブ光ネットワーク)、XGS-PON(拡張ギガビット対称パッシブ光ネットワーク)といった有線アクセス テクノロジーで、これらの付加価値サービスを顧客に提供しています。また、全体的なコストを最適化しながら既存サービスおよび新規サービスの提供にFMCを活用することも検討しています。ユーザーの住宅やオフィスのCPE(顧客構内設備)は、Wi-Fiを通じて途切れることなくこれらのサービスを提供しなければなりませんが、その手段の1つがサービス フローを優先付けする方法です。有線、Wi-Fi、モバイル アクセス テクノロジーの統合により、CPEは有線と無線のアクセス ネットワーク間およびWi-Fiと5Gのアクセス ネットワーク間でQoS(サービス品質)の処理を翻訳して、一貫性のあるエンドツーエンドのQoS体験を提供しなければなりません。

Wi-Fi Allianceは、有線、Wi-Fi、5Gネットワーク間で一貫したQoS処理を行うためにQoS変換/マッピングを使用し、遅延(レイテンシ)の影響を受けやすいフローを持つサービスを確実に提供できるよう、業界がWi-Fi CERTIFIED QoS Management™に含まれている機能を採用するよう推奨しています。 IETF(Internet Engineering Task Force)RFC 8325は、IETFのDSCP(差別化サービスコード ポイント)とIEEE 802.11のUP(ユーザー プライオリティ)間のマッピングを規定します。その後、これは有線ネットワークとIEEE 802.11ネットワーク間の一貫したQoSを維持するために、Wi-Fi CERTIFIED Multimedia™ (WMM®)アクセス カテゴリにマッピングされます。DSCPマッピングは、3GPPが規定する5QI(5G QoS Identifier)スキームからDSCPのマッピングを規定することで、Wi-Fi QoSと5QI間の橋渡しをする役割も果たします。 この5QIからDSCPおよびDSCPからUPへのマッピングは、FMCだけでなく、トラフィックが有線、Wi-Fi、5GのネットワークにまたがるWi-Fiおよび5Gの統合環境にも適用できます。

 

[1] 3GPP, TS 23.501